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「…く……る…ょ」
いきり声が聞こえました。
聞こえたと言うよりも頭の中に入ってきたと言った方が近いと思います。
「誰?何?お母さん?」
私はわけもわからず辺りをキョロキョロしました。
「くる…よ…」
声はだんだんと鮮明に聞こえてきました。
「何がくるん?誰?」
声は確かに「くるよ。」
とだけ言っています。
ドカ~ン!!
すごい音がマンションの裏通りから聞こえました。
私は声も気になりましたが音の方が私の興味を誘い、一目散にベランダに駆け出して下を覗き見しました。
そこには一台の軽自動車が電柱に正面からぶつかり煙があがっていました。
「いかなきゃ!」
私はとっさにそぅ思ったのです。
ベランダから玄関に向かい、階段をかけおりて、マンションの裏通りに無我夢中で向かいました。
何人かの大人の人がいましたが、私はかまわず軽自動車に近寄りました。
フロントガラスは割れ、一言で言うと前座席がないといった感じでしょうか。
運転手であったであろう人の顔が電柱と座席に挟まれて潰れていました。
目とか鼻とかどこにあるのがわからないんです。
潰れているのも理由ですがその前に真っ赤なんです。血で全てが…
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