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新制暦103年、9月。
地球とアルガとの戦争は終局を迎えようとしていた。
戦力比は9対1。
圧倒的にアルガ側が優勢だった。
アルガの旗艦。
その艦橋はまるで宇宙空間そのもののように周囲の光景を映し出す巨大な全天モニターだった。
中央には球形のコンピューターグラフィックスが浮かび、その前に立つアルガの司令官ヴァル・ブロ提督は声高にがなり立て、力強く拳を振り上げた。
「諸君、すでにこの戦いも終局に向かっている。今こそ、争う事しか知らない蛮族共に裁きの鉄槌を下す時である!! 諸君の全ての力を結集し、この戦いにピリオドを打とう!!」
その芝居掛かった演説は、アルガ艦艇の全軍へと伝わっていた。
それに呼応するように、地球の周囲に無数に展開するアルガ艦隊の中から大量発生した虫のように膨大な数の巨人の群れが沸き出してきた。
その全長は約10メートル前後。
アルガの民とは巨人族なのか?
いや、そうではない。
これこそがアルガの戦力的な優位を確定させたもの。
人間を10数メートルの大きさに大型化させたかのような外観を持つ鋼鉄の巨人。
有人人型機動兵器、アサルトガンナーである。
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