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「艦長、ジャスティス行けます!」
ジークフリートの格納庫から、まだ少年の面影を残した黒髪の若者が、その優しそうな瞳に悲しみと怒りをないまぜにしたような顔でクラウドに出撃許可を求めてきた。
天名マコト。この艦のパイロットだ。
「おいマコト。無理すんなよ、お前オーバーワークだって。速人さんだっているんだぜ? それに、ビリーだってさ」
マコトの親友、金髪碧眼の美青年、ケビン・グラッドは心配してなだめるように言ったが、しかしマコトに迷いは無い。
「僕が行かなきゃならないんだ……」
一瞬、マコトの瞳に影が差したが、すぐに前を向き、宇宙服を兼ねたパイロットスーツのヘルメットをつかむ。
「……あの男が決着を望んでいるから」
その決意に満ちた瞳に、ケビンは両の手を広げクラウドを振り返った。
クラウドは静かに頷く。
「わかった。行ってくるがいい。だが無理はしないことだ」
「了解、必ず生きて戻ります」
マコトは無重力を活かして床を蹴ると、5メートル近く跳躍して軽やかにコクピットに滑り込み、キャノピーを閉じる。
コクピット内は完全な暗闇。
その闇の中でいくつかのスイッチを弾いて機体のコンピュータを立ち上げる。
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