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時は20XX年。
そう遠くない未来からこの物語を始めよう。
「…っはぁっはぁっ」
息を弾ませて転がるように金色の鎧に身を包んだ女が傭平と千尋の目の前に現れる。
女の背には不釣り合いに武骨な大剣が背負われており、鎧に刻まれた大小の傷が歴戦の兵であることを物語っていた。
「…に、逃げっ…」
街はずれの街道沿い。脇の雑木林から傷ついた女が転げ出してくる。
そんな異様な状況に、傭平と千尋、二人の男は素早く雑木林に目をやるとそれぞれ背から獲物を抜き放ち、木立に向き直る。
「嬢ちゃん、『何』が居たんだい? 」
背に冷たい汗を感じながら傭平が問い掛けた。
と、木立の向こうでガサガサと木々がざわめく。
「くるで!傭平、気をつけれ!」
千尋が叫ぶのと飛び出してきた『何か』に傭平が教われるのは同時だった。
「ジ、ジンオウガっ!?」
こんなところに、冗談だろ!?と千尋は傭平にのし掛かる巨体目掛けて大剣を降り下ろす。
「助かる!」
ジンオウガが千尋の斬撃に低く唸り、一瞥した一瞬の隙をつき、ジンオウガの爪を短刀で振り払って地に転がった。
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