影夢

金縛り

　前の金縛りから3ヶ月程経ったある日のことです。
　その日、ふと目を覚ますと幾つかの奇妙な感覚に襲われました。
　一つは、何かに私の胸の上に乗られて、首を絞められているような苦しさです。目も開けられませんでしたから、相手を確認すら出来ませんでしたが……
　二つ目に、足の付け根の会陰部と呼ばれる場所、ヨーガにおける第一のチャクラがある辺りなのですが、そこに何か熱いものが流れ込んでくるような感覚で、突き上げられるような圧迫感と、甘苦い痺れに似た感覚です。
　そして３番目、両手が年度にでもなってしまったかのような不愉快な感覚です。そこにあるという感覚はあるのに、動かそうとしてもクニャリと力が入りませんでした。

　そんな感覚が一度に押し寄せてきたため、私もさすがに慌てました。
　気合いを入れて目を開くと、何か黒い影のようなものが目に入り、その瞬間、私は地蔵真言を口にしていました。
　すると、黒い影は溶ける様にして姿を消し、他の奇妙な感覚も治まりました。
それからというもの、たまに同じような感覚、つまり首を絞められている感覚や何かが登ってくる感覚をともなう金縛りを何度か経験することになりました。

　後に、知り合いに部屋を祓ってもらったのですが、(ちなみに当時はお祓いは苦手でした)その時不思議なことが起こりました。
　あの天井の染み、人のシルエットにも似たそれが無くなっていたのです。
　もちろん染み自体は残っていましたが、人の頭にあたる部分が引きちぎられたかのように無くなっていたのです。
　その後は、首を絞められているような感覚の金縛りに遭うことはありませんでした。