誓約

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カチャ 廊下にある扉を開くと、下へと続く階段が現れる。 「足元に気をつけな」 湿っぽい空気が僕を包み込む。 幅は狭く、淡い光りのランプで照らされた階段を降りて行くと、正面に鉄製の檻があった。 その中に、小さな影が見える。 「瑠璃!」 名前を呼ぶとその声に反応し、俯いていた顔を上げ、口を開く。 「お兄ちゃん!」 瑠璃は鉄柵を掴み、身を乗り出す。 泣いていたのだろう。 つぶらな瞳は、赤く充血していた。 「大丈夫か? 痛いとこあるか?」
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