ことはじめ

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西暦2XXX。 日本各地にはいくつもの軍事工場が点在していた。 平和主義なんて最初のうち、経済の衰退や度重なる赤字国債のせいで、日本は各国へ資金を支払えなくなってしまう。 当然、金で解決していた所、それを支払えなくなったとあらば各国から非難を受けるのは目に見えている事で、日本はどうにかそれをやり過ごす為あれよあれよと軍備に力を注いでいった。 結果がコレだ。 自衛隊は国軍と名を改め、憲法第九条はなんの効力も持たなくなっている。 更に兵器開発にも力を入れ、各国にそれを売っていった。 元来技術大国とあり、日本の武器は評判が良く色々な国々で売買された。 皮肉な事に現在の日本経済を支える重要な国家事業になってしまっている。 政府はそれに調子づき各地に軍事工場を設立、中でも横浜にある工場は日本最大級の軍事工場とされた。 無論、国民も政府のこの横暴なやり方に異を唱えたのだが、しかしそれも最初のうちだけ。 軍隊を盾にした政府に適うはずもなくあっという間に国民の反政府運動は鎮圧されてしまう。 それは民主主義崩壊を知らしめる結果となった。 ――これが現代日本の姿、平和主義民主主義国家の成れの果てである。
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