久遠の灰色

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「あー、あー」 青空なんか見えやしない。 この町の中心にあるでっけぇ軍事工場のせいで空は曇ったままだ。 政府のバカ野郎共が工場をどんどんでかくしたおかげで、何混じってるかわかんない排気ガスが町の空を覆っちまった結果さ。 どす黒い煙をもうもうとあげて、今日も相変わらず兵器造りに勤しんでやがる。 「あー、あー」 馬鹿みたいに俺は大口を開けて空を見る。 被っていたパイロット帽の中が蒸れて気持ち悪い。 その上見上げれば灰色の空が広がっていて更にいらいらした。 悲しいかな生まれて15年経つけど、俺は青空を絵本の中でしか見た事が無い。 ちなみに雨は黒い色だと未だに信じている。 ジジイが口酸っぱく雨は本当は無色透明なんだと言っていたが俺は信じない。 「あー、あー」 「さっきからあーあー言ってどうしたのさ」 うるせぇなと小声で呟き声の聞こえた方へ目玉だけ動かした。 ピンクのカチューシャが視界に入り、俺はさもだるそうに一つ、深い溜め息を漏らす。 溜め息が聞こえたのか声の主は不満気にキャンキャン吠えた。 あーうるせぇ……。
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