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「うるせぇよナナミ、ちょっとは黙れって」
「だぁってぇ、Z(ゼット)があーあー唸ってるからどこか痛いのかなって」
ナナミは口を尖らせるとそこからぷすりと空気を出す。
そんな不満全開の顔で訴えられても困る。
だから女って面倒くせぇんだよ。
「ばぁか、俺がそう簡単にてめぇの身体ぶっ壊すワケねぇだろうが」
「うん知ってる!」
知ってるっておい……。
じゃあいちいち騒ぐんじゃねぇよ。
放っておいてくれれば良いじゃねぇか。
「でも、何だか心配だったんだぁ!」
満面の笑顔で言われ、俺は不覚にも返す言葉が見つかんなかった。
女の涙は苦手だが、俺はこいつの笑顔も苦手だ。
何かが緩んじまいそうで、どこか遠ざけていた。
「ねぇZ、そういえばガットさんが呼んでたよ?」
「ああ? ジジイがぁ? ったく面倒くせぇな!!」
俺は立ち上がると勢い良く駆け出す。
一瞬後ろを振り返ると、ナナミが俺の後からちゃんと着いて来ていた。
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