久遠の灰色

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狭い路地を縫うように駆ける。 気付かれないように後ろを振り向き、それとなく速度を落として先へ進む。 案の定ナナミは俺の足に着いて来れないらしく、息が上がっていた。 まぁ女の足だし? いくら速度落としてもちょっとキツいか。 狭い路地はまだ続く。 ジジイが人間嫌いのせいで、随分奥ばった所に目的の家がある為だ。 ナナミが居る手前ショートカット出来ないのが悔しい。 「ちょ、ちょっとタンマ」 とうとうナナミが根を上げた。 確かにここまで休み無しに走って来たし、女にしちゃあ良く頑張った方だ。 帽子を少し直して、俺はナナミに手を伸ばす。 「ったくしょうがねぇなぁ。掴まれよ」 差し出した手をナナミが掴む。 白くて細くて、ちょっと力入れりゃあ折れんじゃないかって位弱々しかった。 「ナナミ、乗れ」 俺はナナミの前に屈むと背中を突き出す。 ジジイがうるせぇからやりたくなかったけど、走ると時間掛かるからこの際仕方ないと都合の良いように言い聞かせた。 ナナミは多少不服そうな声を出したが渋々俺の背に乗った。
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