ご臨終

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なおも元ツバメだったらしい小太りな変態は はて?ととぼけるような表情で 「天国…ですか?わたくしは存じ上げませんのでその質問にはお答えしかねます」 「天国だよ!天国っ!だからあの善人は天国で悪人は地獄っての」 「うーん、おそらく…それはあなた方人間が創りあげた空想のお話ということでしょうね」 「えっ?じゃあ死んだらどうなんの?」 「再生の時を待ちます」 「再生?生き返るの?んなまさか」 「もちろん同じ存在のまま生き返る、というわけではありません 基本的には生きた年数×二倍の年月をかけて魂を浄化していきます」 「浄化?なんそれ?」 「生きるということは色々なものが染み付きます、それが楽しい事であれ苦しい事であれ ひとまとめに汚れと判断され次の生まれ変わりまでにそれらを洗い流すのです」 「ん~よくわかんないけどバブみたいな感じ? あれ入れて風呂入ると汚れすげー取れる気がするし」 「バブ…も存じませんね」 「じゃあなに?俺はこれからその浄化ってのをするわけ?」 「ええ、まあ基本的にはそうなのですが…」 「なに?まだ何かあんの?」 すると元ツバメだったけど裸のオヤジに変化させられた彼が コホンっと一つ咳払いしてから話し始めた
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