悪魔なマフィア

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「大切な物が足りないんじゃよ。」 「大切な…物…?」 「あぁ。 今のお前には大切な物が足りん。」 「私の大切な物はファミリーだ!」 「駄目なんじゃよ。」 私の大切な物はファミリー。 私はファミリーの為だけに 生きている。 ファミリーの障害になるものは 何であろうと排除する。 本当にファミリーの事を 思っているのに、 ボスはそれを否定した。 「確かにファミリーは大切じゃ。 仲間との絆、団結力、 それは欠かせない物。」 「じゃあどうして…ッ!」 「お前には、人間として 大切な物が欠けている。」 俯いていたボスの瞳が 私の瞳を貫く。 真っ直ぐな瞳で見止められ、 私は喉を通りかけていた 避難の言葉を 全て飲み込んでしまった。 ボスの眼から、逃げられない…。 「はっきり言おう。 鎖のない猛獣状態なんじゃ、 今のお前は。 危険な、肉食獣…。」 返す言葉すら出なかった。 言葉にならなかった。 悲しいわけじゃない、 ボスが憎いわけでもない。 ただ…なんだか 胸が締め付けられる感じがした。 「学校に行って人と触れ合って、自分自身を見つけ出してきなさい。」 「…はい。」 私は、俯いたままそう言って 荷物をまとめるために部屋を出た。 「…嫌な役、お疲れ様です。」 クレサがボスに優しく言う。 ボスは手で頭を抑えながら クレサに静かに言う。 「クレサ君…学校に通っている間、悠希を頼むよ。」 「分かりました。」 クレサは静かに了承すると、 ヒールを鳴らしながら 部屋を出て行った。 「…ボスが一番、 悠希を手放したくないはずなのにね。」 閉まったボス部屋の扉を 見つめながらクレサは静かに呟き、微笑む。 なんだかよく分からないけど、 私が学校へ通う事が 決まってしまった…。 、
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