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「…荒れてるね」
「…荒れてるわね」
荒れてるって言うのは
聞いていたけど…と
クレサが付け足す。
…聞いてたんかい。
聞いてたんなら
ボスに抗議ぐらいしようよ。
私、女の子だよ?
女の子をこんな荒れてる所に
おいていいんですか。
「じゃあ、そろそろ行くわね。
私は校内に入れないから」
放置プレイですか。
…もういいよ
私がぐずぐずと
そんな事を思っていると
クレサが私をギュッと抱きしめた。
意識を違うところへ
飛ばしていた私は、
はてなを浮かべながら
クレサを見る。
「クレサ…?」
「…ごめんなさい。
名残惜しいみたい…」
クレサは私の耳元で
そう寂しそうに呟くと
愛しい者を抱きしめるように
優しく強く私を抱きしめる。
私だって寂しい。
出来る事なら離れたくなんかない。
でも───…
「…ごめんなさい。
送り出すのは私なのに、
私が引きとめたら意味が無いわね。
私も…そろそろ帰らなきゃ…」
クレサはそう言うと
名残惜しそうに私を離す。
そして、私の耳にある
薔薇と蛇のクロドファミリーの
紋章が描かれたピアスを触る。
「離れていても、
貴方はファミリーの副ボス。
ボスの右腕…
そしてファミリーの一員よ。
私達は家族」
「うん」
「時間ができたら
絶対に会いに来るから…。
…学校、頑張ってね」
「ありがとう、クレサ」
クレサは私に微笑みながら
運転席のドアを開き、
車へと乗り込む。
私は手を振りながら
クレサを見送り、
クレサの車が見えなくなってから
荒れている校内へと
足を踏み入れた。
、
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