悪魔なマフィア

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バンッ!!! 真紅に染まりゆく世界。 消えていく命の灯。 そんな世界の真ん中で 銃を片手にたたずむ少女が一人。 黒く長い髪、真っ白な肌、 幼さの残る可愛らしい顔。 しかしその少女に感情はなく、 目の前に散っていく命の残骸を 見つめているだけで。 たった今、 少女の右手で奪われた命。 しかし少女は自分が奪った命に 少しも執着心を見せない。 悲しむどころか、 楽しむかのように 顔を歪ませている…。 少女は男の屍を踏みつけ、 暗闇へと進んでいった。 「ひっ…!」 そこには、煌びやかで 派手な格好をした 偉そうな風貌の男が。 男は腰を抜かし、 地べたに座り込んで 恐怖で歪んだ顔を 少女に向けていた。 男に向かって少女は ゆっくりと歩み寄る。 それと共に男は 尻もちをつきながら後ずさる。 …が、途中で少女が片付けた 屍の山に背中があたり、 逃げ場を失った。 「た…頼むっ! た、助けてくれぇ…! 命だけは…命だけは…!」 男は情けなく、 自分より何十歳も 年下の少女に命乞いをする。 そんな男を見つめる少女。 情けなく 命乞いをする男に向ける瞳は 全てを凍らすほどの 冷たさのあるもので。 瞳に光はなく、 人を殺す事を厭わない少女。 それは、まるで悪魔。 少女はゆっくりと、 銃口を男に向けた。 そして口元を吊り上げ 高めのソプラノの声で 奏でるように口を開く。 「バイバイ、おじさん。」 そして男に向かって 容赦なく引き金を引いた。 真紅が部屋を包み込む。 闇が侵食していく。 そんな中を颯爽と歩く少女が一人。 人を殺す事を厭わない少女は、 満足そうにほほ笑みながら 闇の世界を後にした…。 、
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