学寮

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その思いっきり振りおろした拳を竜牙にいとも簡単に止められてしまった。 そしてそのまま引っ張られて 腕を掴まれたり 肩に手をおかれたり… 「なんだ、 お前何気にいい奴じゃん」 誰だかは分からないが、 ヤンキーの一人がさっきまで無い笑顔を見せる。 ソイツだけじゃない。 皆、何故か笑ってる。 「俺らに呼び出しされても 逃げないで来るし」 「俺達の事差別したり、 避けたりしねぇしな」 「…当たり前だろ。 お前らみたいな青ガキ、 怖くも何ともないっつーの」 「大きな事いってんじゃねーよ、チビ」 「チビって 言うんじゃねぇぇぇぇぇッ!」 変だ。コイツ等。 とうとう頭まで支配されたか。 バカというものに。 私がコイツ等をけなしても 全然怒らないし、 むしろ楽しそうに笑っていやがる。 「つか…さっきと全然対応が 違うような気がするんだが?」 「仲間って認めたんだよ」 私が周りの 笑っている男子に聞くと 私の拳をとめていた竜牙が ため息交じりで答える。 言っている意味が 全く理解できませんが。 「俺達はね? いつも男子の転校生が来たら 校舎裏に呼び出して ソイツを試すんだぁ~」 「試す…?」 「うん、俺らに怯えて来ないか、それとも来るか。 タイマン張ってケンカできるか、とかね」 背中の方から顔を出してきた光が指を折りながら教えてくれる。 っていうか、 試すってどんだけ上から目線なんだ。 「んで、悠希ちゃんは合格~! 俺らの仲間だ!」 光はリズリムみたいに ひっついてくる。 上から目線が気に入らないけど。 そこまで来て、 私は一つ気がついた。 「っていうかさ」 「ん?なんだ」 私が突発的に声を出して 竜牙が不思議そうに聞いてくる。 そして私は物凄い睨みを利かせてはっきりとした声で言った。 「チビ女って言われたの はぐらかされた気がするんだけど」 、
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