まもってみせる

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*** 悠希は双子がいなくなった部屋で一人深くため息をついた。 痛む体を寝かしたまま、先ほどまで縋るように掴まれていた両手に視線だけを向ける。 あの子達が、泣いていた。 傷だらけの手に縋って、決して他人には見せない表情で、切羽詰まった声で。 お互いと、自分以外には見せない涙を。 あの子達は言っていた。 敵に捕らわれ、自分を見失い、薔薇姫として敵を全滅させた自分を見つけた時。 薔薇姫が悠希に戻った時。 どうして、銃を向けたのかと。 どうして、殺さなかったのかと。 そう問うたら。 辛そうに、涙を流しながら。 自分達のあずかり知らぬ場所で悠希が死ぬくらいなら。 薔薇姫のように守りきれないくらいならと、悠希に銃を向けたけれど。 ―――撃てなかったよ 「撃てなかったよ、悠希」 「撃てなかったんだ」 「悠希とまだ一緒にいたかった」 「また一緒にお仕事したかったんだ」 「「まだ、一緒に生きていたかった」」 それにね、と双子は泣き顔で無邪気に笑った。 「まだ、その時じゃないから」 「まだ、殺す時じゃない」 「あぁでも」 「いつかまた薔薇姫みたく悠希が死ぬようなことがあった時は」 「ちゃんと僕達が悠希を殺してあげるよ」 「苦しまないように」 「三人で一緒に」 「「絶対に、一人ぼっちにはさせないからね」」 本当に嬉しそうにそう笑った双子は、本当に怖かった。 あの二人が、本当に犯人なのだろうか。 でも、自分と同じくらい狂っている二人なら。 いやだめだ。妙な思い込みは情報を正しく読み取れなくなる。 落ち着け、周りを見ろ、よく考えろ。 そもそも、双子が犯人ならボスが気付かないはずがない。 ,
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