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「うん…予定はないよ」
私が意味深に間を置くとクレサは私の考えを悟ってくれたのか
声には移さずとも
表情を妖しい物に変えた。
「そう…よかったわ。
じゃあ来週の日曜日、
昼過ぎに迎えに来るわね?」
「うん、用意しておくよ」
「いいなぁクレサ!」
「僕らも姫とお出かけしたい!」
「ダメよ。
悠希と二人で出掛けるんだから」
駄々をこねるリズとリムを
クレサが笑顔で制止する。
まぁつまり二人は私と
仕事がしたいって
言ってるんだけどね?
「さ!これ以上いたら
迷惑になるし、帰りましょ。
ほら、リズ!リム!」
「やぁだぁ~!」
「まだ姫と一緒にいたいぃ~!」
「わがまま言わないの。
今日は習い事があるんでしょ?
サボったら怒られるわよ」
習い事って言うのはつまり武道。
私が幹部(クレサ)達に
ボッコボコにされながら
教わった(叩き込まれた)
あの武道達。
可哀想に…リズとリム…
リズリムはぶうぶう
文句を言っていたが
クレサに引きずられている。
「あ、忘れてたわ。」
クレサが玄関前の
靴箱の所で手を叩き、
にっこり笑顔で私達の方を見る。
「ねぇねぇ、皆」
「ん?」
リビングのいりぐちで並んでいた私達はクレサの言葉に反応して顔をあげた。
瞬間。
パシャ。
…今、なんか音がしたヨ?
なんか乾いたぱぴぷぺぽ段の
カタカナが入った音がしたヨ?
私達5人が振り向いた瞬間に。
「…クレサ?」
「全員の顔いただきっ」
語尾に星☆でも付きそうな
セリフを吐いたクレサの手には
白色の最新型デジタルカメラ。
現代風に言うとデジカメ。
どんな手振れも気にならない、
人の顔をしっかり認識するタイプ。
逆光も気にならないし
操作も簡単だし、
画質もいいから人気なんだって。
…ってそうじゃないから。
、
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