訪問者

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「今…写真撮った?」 「えぇ。皆から頼まれてね? 悠希の姿が見たいから 撮って来いっ!てね」 「それで… 俺らが入る理由は何処に?」 私の後ろで説明を求める 竜牙の口の端は軽く ぴくぴくと引きつっている。 竜牙だけじゃない。他の3人も。 そんな竜牙達の姿を見るも、 クレサはてへっと首を傾げながら 「記念よ。悠希のお友達!って 皆に紹介しておくわ」 「ちょっ…待って待って! 今絶対アホ面だった!」 「大丈夫大丈夫。 悠希はどんな顔でも可愛いわよ」 「お世辞はいらないから!」 「…大丈夫だ… アンタはいつでもアホ面だから」 「ちょっと蘭さ~ん? 今凄く失礼な言葉を 耳にしたんだけど~?」 珍しく蘭が私に語りかけてきたが内容が失礼すぎて珍しいなんて驚けない。 いつもアホ面ってどんなだ。 いじめ以外の何物でもないだろ こんちくしょう。 え、っていうか蘭って こんな性格だったんだっけ? 「ま、撮れた事にかわりはないしね。 バイバイ、悠希。またね」 クレサが上機嫌に笑い手を振って玄関の戸が閉まる。 「撮り逃げかよ」 私は苦笑いしつつも、 自分の顔がほころぶのが分かった。 私はクレサが、リズリムが、 ファミリーが好きなんだ、と。 私が小さく微笑んでいると 後ろから悪魔達の声が。 「おい、そこのチビ。 いつまでアホ面で 突っ立っていやがる」 「オイ待て。アホ面にプラスで チビまでつけんな」 いつの間にか4人は 定位置に座っていて 再びくつろいでいた。 写真を撮られた事は… なんかもう諦めているらしい。 皆、さっきの事なんか なかったようにだらけてる。 蘭なんてもう寝てるし。 「…能天気でうらやましいわ」 私はそうボソリと小さく呟いて 自分の部屋に入り、 バフッとベッドに体を沈めた。 、
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