悪魔なマフィア

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「悠希が… 壊れてしまいそうなのだよ。」 「悠希が?」 「あぁ…。 あの子は幼い頃から此処にいた。 親に捨てられ、人間としての 幼い子供の感性も失っていた。 だからこそあの子は 人を殺す事に対して何も厭わない。 それどころか人を殺すことに 快感を感じている。」 「それは…。」 「狂い始めているんじゃ、 あの子は。 大切な物が何か分かっていない。 銃を向けることがどういう事か、人の命を奪う事がどういう事か、 理解せずに自分の快感の為だけに突き進んでおる。 悠希には自覚が無いようだが、 あの子は知らぬ間に 人間を憎んでおる。 自分を捨てた親を、 そして汚い事ばかりしている 人間達を。 こんな世界ばかり見ているから、仕方のない事なんじゃろうが。 そのうち爆発して、 あの子自身が 壊れて行く気がするのじゃ。 それが私は怖いのじゃよ。」 ボスは辛そうに顔を歪ませながら小さく呟いた。 そして寂しそうにクレサに言う。 「ここはあの子の母国、日本じゃ。 今度はいつ来れるかも分からん。 だから、ここであの子に 知ってもらいたいのじゃよ。 この世界は、凄く美しいと…。」 「…そうですか。」 クレサは根負けしたように ほんわかと笑う。 その反応にボスも満足したようだ。 「まぁ、あの子は 納得しなさそうですが。」 「大丈夫じゃ。 意地でも行かせて見せる。 日本の高等学校にな。」 、
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