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「幸村様、この童は一体‥?!」
佐助を指し示して口をパクパクとさせている才蔵を尻目に、俺は佐助を抱えて部屋の隅へと逃げるように下がった。
「言ったであろう、今のお前は俺の小姓だ!」
なるべく才蔵の目につかないよう角度を変えて彼へと耳打ちすると、いかにも不満げな声が返ってきた。
「才蔵なら大丈夫だよ!」
「ならぬものはならぬっ」
「けーち!」
「な、何をぅ‥!」
全く分からん奴だ、と苛立ちが隠せない。そんな俺の腕からスルリと抜け出し、才蔵の前へと踊り出る佐助。
もうどうにでもなれ。俺は黙って事の成り行きを見届ける事にした。
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