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「才蔵なら分かるよな、な!」
自分のことを指差して同意を求める佐助を才蔵はヒョイと抱き上げ、その頭を軽く撫でて笑う。
「あまり人様を困らせるものではないぞ」
「あう!」
はしゃぐ佐助の目を盗んでこちらに視線を送ってきた才蔵の目は、明らかに助けを求めていた。
嘘をつくでもなく、当たり障り無くかわした才蔵に心中で礼を述べながら、俺は二人に歩み寄った。
「ほらね旦那、才蔵は分かってくれた!」
「ああ、そうだな」
鼻を高くして言う佐助の頭を撫でると、実に嬉しそうに目を細めた。それを才蔵が怪訝な顔をしてじっと見ている。
まあ無理も無いだろう、俺にこんな小さな知り合いなんていないのだから。
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