63人が本棚に入れています
本棚に追加
「佐助ー、おらぬのか?」
ある日の昼下がり。
少し民の様子を身に村へ行こうと彼を呼んだのだが、これがなかなか出てこない。普段であれば二、三呼べば颯爽と現れる彼が、返事すら寄越さなかった。
「おい、佐助ー」
居ない居ないと、結局草庵を一回りし自室へと戻って来てしまった。
やれやれと襖を開けて中へ入ると、簡単に畳んでおいたはずの布団が広げられていて、その上にちょんと橙色の毛玉が乗っている。
「なんだ、ここにおったのか佐助」
こちらから見えるのはちょうど後頭部側。背中を向けて眠っていた。
だから、最初は気付かなかったのかも知れない。
「全く、返事くらいしろ‥?」
布団の脇に膝をついた時、ふと沸いた疑問。
はて、彼はこんなにも小さかったであろうか。
最初のコメントを投稿しよう!