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だがそんな一時は、部屋の外から聞こえてきた一言で終わりを告げた。
「幸村様、お館様より急ぎ登城するようにとの御達しがございました」
「相分かった!」
そう返してから、ふと考える。
彼はどうするべきだろうか‥?
「大将が呼んでるんだ?」
佐助は俺に掲げられたまま、手足をブラブラとさせて呟いた。
無闇に今の状態の彼を見せたりして、お館様に無用な心配を掛けるような事があってはならない、そう思うとやはり‥―――
「じゃあ俺、お馬さんの用意してくる!」
「ま、待て待て」
ひょいと飛び下りて表へ走っていこうとした佐助の腕を掴んで引き止めると、何故止められたのか分からないといった様子の彼がこちらを向いた。
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