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「おぉ、久しぶりでは無いか・・なぁ湊よ」誰でもない、古くからの友人である。
「めんどくさい時に尋ねるのがお主の趣味であるのか?」湊は完璧に殺気をぎらぎらと放っていた。そんなことを無視しながら話を始める。
「いやいや、そんなことはどうでもいいんだよ。それよりもこの国に侵入者が現れたというのはすでに耳に入っているか?」湊は眉をすこしばかり動かした。
「入っていない・・・それは誠の事実か?場合によっては我が出向くが」湊の言葉を遮るように話を続ける。
「その者達が害を為す存在なのかはまだわからない。情報が不足しているからな・・・それに、どこから入る事が出来たのかすら分かってはいない。もう少し待っていただきたい」その言葉を聞いて、再び湊は怪訝そうな顔をする。
「そんな・・未確認のことでわざわざ吾を、吾の大事な睡眠時間を削ったと言うのか?あぁ?!秀(しゅう)・・・」秀は溜め息を漏らして別件を語り始める。
「それだけならば・・・な。湊も分かっているだろ?霜の先読みの術で、その侵入者が一体どのような存在なのかを・・」しかし、そんな言葉を続ける秀をあまり気にしていない様子で湊は霜の方を見る。
「霜・・本当にそいつらは吾の運命を覆す力を持っているのか?吾の呪いを解くほどの力を」
「えっと、秀様のことはよろしいのですか?」霜は先ほどから一人で雄弁に語る秀のほうを少しみる。未だに秀は、話し続けている。
「そもそも、湊に掛かる呪いは・・・・・・」
「気にするな。それよりも、本当にそうなのか?吾のこの呪いを打ち消すほどの術を使える者なのか?」湊の問いに肯定も否定の意思も見せずに霜は話し始める。
「私の術も完璧ではありませんから、絶対とは言えませんが、その方たちが確かにそうである可能性は高いと思います。何よりも湊様の呪いの期限も近付いています」湊はその言葉の意味を十分に理解していた。
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