警察

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何も無い警察官はトレーニングルームでひたすら腕を磨く 彼らもトレーニングしている 慎が黒に話す 「はぁ…何か任務欲しいよなぁ…トレーニングばっか退屈だよなぁ…」 「まぁそう言うな。俺たちみたいな下級にはなかなか来ないだろ。」 「そうだけどさ…お前なんか犯人捕まえても他のヤツに手柄譲るし…」 「俺はこのポジションがいいんだよ。」 「剣術・射撃・知識・判断・洞察力、全てトップの天才!だろう?」 「俺は目立つのが嫌いなんだ。」 「ま、こちらとしてはお前が上司にならなくて助かるけどね。」 「だろ?」 黒は剣術の練習に向かった たいていの警察は警棒を装備しているが剣術がトップの黒には特別に刀の帯刀が許されていた 二刀流で 黒が丸太に向かい合う 二本の刀を抜いたのもつかの間、丸太は音もたてず崩れた 「さすが!」 「よせよ。」 黒は素っ気なく流す 「あ、そうだ。ワリィ…俺あの日だから帰るわ。」 「わかった。」 慎の言う"あの日"とは両親の命日である 慎の両親は慎が友達と遊びに行っている間に強盗殺人に巻き込まれた その犯人を捕まえたのが総監の黒沢であり、幼かった慎を引き取り、育てたのもまた、黒沢である 黒沢は慎にとって親同然で命の恩人だった その事は黒だけが知っている そんな仲の慎と黒だが慎は知らないことがある 黒の名前だ "黒"が名字なら名前が、名前なら名字が無い それを黒は語らない なので慎も深くは問い詰めなかった 次の日、珍しく慎と黒に任務が入った 事件の内容は"警察が何者かの手によって殺害された"というものだった この警視庁独裁政権の中で警察を殺害するのはもはや自殺行為でしかなかった しかしこの事件が物語の始まりであった――
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