9人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ?」
一人だと広すぎるテーブルの上。
そこの花瓶に挿していた、一輪の花が萎れていた。
そこで私は思う。
「この花、何だろう…」
あなたが生きていた頃、あなたは毎日水を取り替えていた。
なんの花なの?って聞いても答えは同じ。
『ん~、秘密』
と、微笑みながら言う。
私はその言葉に少しすねていたことを思い出す。
「…やっぱり色々思い出しちゃうね……」
『先に死ぬのは俺がいい』
理由は、[女の人は一年も経てば立ち直れるからだ]って言ってたあなた。
まだ一年も経ってないけど、それなりに立ち直りつつある。
なんて事はなく、やっぱり悲しいものは悲しい。
たくさん泣いたから、もう涙目なんて出ないと思ったのに…。
…出ないわけはないか。
好きだった。いや、今でも大好きだから。
………あれだけ『一緒にいよう』って言っておいて、先にいくなんて。
「まったく、私を未亡人にしちゃって…」
.
最初のコメントを投稿しよう!