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「あぁ―――気にするな。
ここを出たら売って、金にするといい。」
戸惑いの視線を向けるシャラにユーリはあっけらかんと言い、窓枠の上に完全に乗る。
するとまるでそれを見計らったかのように、大量のルーたちがユーリの周りに現れた。
「―――あぁ、忘れてた。」
「……?」
ふと何かに気付いたように、ユーリが再びシャラに視線を向ける。
そしておもむろに懐に手を突っ込むと、そこから取り出した巾着をシャラに投げ渡したのだ。
「その親父の、今日の接待料だ。」
「ちょっ……」
そう言った瞬間、なんとユーリは微笑みながら窓から飛び降りたのだ。
「っ?!」
目の前でおきたことにビクッと震えながら、シャラは慌てて窓に近付く。
するとその暗い闇の中、輝く翼を広げたユーリがぐんぐんと離れて行っている。
その姿はどこか神々しく、なんとも美しいものだった。
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