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『ちっ―――おい、捜すんだっ!』
ボロボロになった部屋の中、どこか切羽詰まった声が響き渡る。
しかし顔一面を黒い布で隠しているせいか、こもって若干聞き取りにくい。
にも関わらず、黒い奴らは光―――ルーが消えた瞬間すぐに姿を消していた。
残ったのは、瓦礫に埋まるトウガと―――
「っ……」
寒くもないのに、シャラは着物のあわせを強く引き寄せる。
未だにあの爽やかな匂いが、どこかシャラを安心させていた。
「今の、一体……」
まるで嵐のように過ぎ去っていった。
あの黒い奴らは何なのだろうか。
「世界政府って聞こえたけど……」
先程まで黒い奴らが立っていた位置を凝視しながら、シャラは眉間にしわを寄せる。
トウガを助け出すという考えは、毛頭ないらしい。
「なんでまた、そんな人たちがここに……」
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