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世界政府と言えば、全世界を支配する組織。
そんなだいそれた組織が、こんな小さな楼閣にくるなんて―――
「彼を、捜していた……?」
ゆっくりと立ち上がり、自分が今羽織っている着物を見つめる。
ここで無理矢理着させられていた露出の激しい服とは、また違った派手さである。
しかし、彼はこれを違和感なく着こなしていた。
この派手な着物に負けない程の、壮絶なオーラを放っていたのだ。
シェラは再び着物に顔を埋め、ゆっくりと目を閉じる。
「ユーリ・ジャック……」
彼自身が言っていた、彼の名前。
何だかよくわからなかったが、見えない鎖で繋がれていた自分を助けてくれた彼。
そんな彼に思いをはせながら、シャラはゆっくりと目を開ける。
そして躊躇のない足どりで、部屋を横切って行く。
未だ苦しそうにうめき声を上げるトウガなど、もはや眼中になかった。
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