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着物ごと自身を抱きしめ、シャラは目の前の人物をきつく睨みつける。
「―――ある人に、いただきました。」
そう言って、シャラは唇を噛む。
あの人は、売ればいいと言っていたけど―――
そんなシャラの思いを知ってか知らずか、顎からゆっくりと手が外れる。
「あんた―――何をしたんだ?」
「っ……」
先程までとは違う、どこか呆れたような声音。
手が外れた瞬間顔を逸らしたシャラは、訝しげに視線を戻した。
そこには、やはり黒い人物がいて―――
「その着物の持ち主を知っている。
あのお人よしが、自分の着物を渡すとなると……」
「あの人を知っているのですかっ?!」
黒い人物の言葉を最後まで聞くことなく、シャラは勢いよく掴みかかる。
その瞬間着物が開けたが、気にする余裕などなかった。
「教えてください、あの人は……」
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