三.

10/19
前へ
/646ページ
次へ
服を掴んでいた手を離し、シャラは驚愕に目を見開く。 「腐っても情報屋―――あんたの情報を仕入れただけだ。」 「…………」 淡々と紡がれるその言葉に、シャラはじっと耳を傾ける。 「でも、この短時間で……」 「自分の商売道具を、わざわざ教えてやる義理はない。」 そう言って、今度こそシャラから離れる黒い人物。 しかし――― 「あの……」 「あいつのことは忘れろ。 あんたの生きる世界とは、掛け離れた位置にいる奴だ。」 シャラが言葉を紡ぐ前に、黒い人物に釘を刺される。 まるで、シャラの考えがわかっていたような口ぶりだ。 「あの人の居場所―――知っているんですか……?」 もし知っているなら、会わせて欲しい――― 何でかって言うのはわからないけど、何故か無性に会いたい。 シャラはその瞳に強い光を宿し、じっと黒い人物に視線を向けた。 .
/646ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6001人が本棚に入れています
本棚に追加