三.

12/19
前へ
/646ページ
次へ
そしてその口からもれた、『足りない』という言葉。 「そんな……」 「あいつの情報を欲しがる奴は、それこそ山のようにいる。 そこらにいる賞金稼ぎであったり―――世界政府であったりな……」 愕然とするシャラに、黒い人物は淡々と呟く。 そして、シャラの手に巾着を戻した。 「需要が高ければ、必然的に値段は上がる。 それだけでなく、あいつはプロの情報屋でもなかなか探れない奴だから―――情報の価値が何よりも高い。」 「…………」 黒い人物の言葉を聞きながら、シャラの頭の中に彼の姿がちらつく。 あの飄々とした姿に、華麗なる逃走劇――― 「彼は―――何者なんですか……?」 「…………」 シャラのその言葉に、今度は黒い人物が黙る。 「お願いです―――このお金で、教えていただけるとこだけ教えてくださいっ!」 .
/646ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6001人が本棚に入れています
本棚に追加