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そしてその口からもれた、『足りない』という言葉。
「そんな……」
「あいつの情報を欲しがる奴は、それこそ山のようにいる。
そこらにいる賞金稼ぎであったり―――世界政府であったりな……」
愕然とするシャラに、黒い人物は淡々と呟く。
そして、シャラの手に巾着を戻した。
「需要が高ければ、必然的に値段は上がる。
それだけでなく、あいつはプロの情報屋でもなかなか探れない奴だから―――情報の価値が何よりも高い。」
「…………」
黒い人物の言葉を聞きながら、シャラの頭の中に彼の姿がちらつく。
あの飄々とした姿に、華麗なる逃走劇―――
「彼は―――何者なんですか……?」
「…………」
シャラのその言葉に、今度は黒い人物が黙る。
「お願いです―――このお金で、教えていただけるとこだけ教えてくださいっ!」
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