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そうして年月が経てば、村人達はマリオンの能力を忘れた。
理解出来ない事象を、存在しなかった事にされたのだ。
じわじわと木からイメージが送られて来る。
村の北東にある森、その奥にある巨大な岩―――村人達がクマ岩と呼ぶ物が見えた。
そして唐突にイメージが切り替わる。
先程までの連続したものとは違い、断片的なそれ。
ブラックベリーの茂み、赤い布。
青白く血色を失った細い手。
金色の髪が土に汚れている。
これは…、これは一体何なのだろうか。
ただマリオンには、木がその場所に向かえと急かしているのが分かった。
「あそこに行けば良いのか…」
幸いにして、まだ日没まで時間がある。
日の出ている内なら、それ程危険な事も無いだろう。
マリオンは北東の森へと歩を進めた。
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