懐かしい記憶。

3/7
前へ
/20ページ
次へ
庭の散策はとても楽しく、目に入るのはどれもリアスの興味を惹く物ばかり。 目を輝かせて、それらに見入った。 色とりどりの花も美しく、道ばたに生えている花を摘んでいるうちに、気付けば見覚えの無い場所まで来ていた。 そこは鬱蒼と茂る樹々の中にぽっかり開いた空間。 光の下に小さな白い花が群生していた。 可愛らしい花に夢中になっていたリアスが我に返ると、辺りの樹々に隠され館の場所は分からず―――。 次第に心細くなった。 兎に角その場でじっとしていても助けは来ないと、幼心に思った。 方向も分からぬままに彷徨い、やがて歩き疲れた頃。 リアスは再び小さな広場に戻ってきた。 樹々の間に見えた光が、先ほど居た場所だと分かった落胆は大きい。 気丈に振る舞っていたリアスの心も折れ、とうとう泣き出してしまった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

226人が本棚に入れています
本棚に追加