懐かしい記憶。

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薄暗い森の中にリアスの声だけが吸い込まれていく。 そのうちに以前聞いた恐ろしい話が次々に脳裏を過った。 迷い込んだ人間を喰らう吸血樹。 親切な振りをして騙し、生きながらに心の臓をくり抜く大男の木こり。 他にもたくさん知っている。 中には魔族の子供すら食べてしまう怪物も居た。 木の影や茂みの中から、今にも飛びかかって来るのではないか。 不安が想像に拍車をかけた。 「…ぅあーん、あーん…」 大きな声で泣いて、恐怖を紛らわせようとした。 次第に日も暮れ始め、闇がいっそう濃くなっていく。 「えーん、誰かぁ…」 寒さで小さな体は震え始めていた。 「…っ、ひっく」 泣きつかれて小さなしゃっくりをあげていた。 「ぅ…、わぁ!?」 そんな時に背後の茂みが大きな音を立てた。 お陰でしゃっくりこそ止まったけれど。 リアスは恐ろしさに硬直した。
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