226人が本棚に入れています
本棚に追加
これはレン達と出会うよりも前のお話。
その年はいつもよりも気候が良くて、春に種まきをした作物もすくすくと育っていた。
初夏。
爽やかな風が心地良く吹く中、男達が畑仕事に精を出していた。
そんな中にマリオンが居た。
他の同年代の少年達に比べて小柄だったけれど、マリオンはその分すばしっこく、愛嬌があった。
「マリオン、今日も精が出るな」
近隣の人々に好かれる彼が畑仕事をしていると、様々な人が声をかけてくれる。
「まぁな。今年はどこも出来がいいし、きっと皆楽が出来る」
ニコリと笑うマリオンに、声をかけた男性も笑みを返した。
平和だった。
小さな村だが、皆仲が良い。
ここがマリオンの生まれ育った故郷。
自慢の村、畑、村人達。
手を休めたマリオンは、青い空を見上げて微笑んだ。
風に乗って、鳥達が空を飛んで行くのが見える。
最初のコメントを投稿しよう!