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「お、怒っているのか…?」
誠はびくびくした。
その誠を見た周りの人達が誠の周りに集まろうとする。
口々に坊ちゃん、坊ちゃま、と心配した口調で寄ってくる。
「来なくてもいい」
誠は周りに集まりかけた人達を手を出して止めた。
誰もかれもあぁ、え、と声を出しながら止まった。
「おこってはねーよ。ただ迎えがあると一緒に帰る意味ないんじゃねーかなって」
なっ、と真也は紅咲にふった。
急だったものなので紅咲の反応が少し遅れた。
「あ…、あぁオレもそう思う。3人で歩いて一緒に帰ろう。」
オレ誠送ってくからさ、と付け足しをした。
誠の目は涙目になっていたが少し輝いていた。
そしてうつむいてからコクン、と頷いた。
「つー訳なんで、貴方達は帰ってくれよ」
真也が周りを促そうとした。
周りの人達はでも…、とまだ状況を把握していないようだ。
すると誠がうつむいたまま言った。
「…ボクは友達と歩いて家に帰る。みんなは先帰っててくれ」
それを聞くなり周りは誠に向かってお辞儀をし、その場から消えていった。
「なぁ!その…メガネの…」
真也が紅咲に指差しながら何かを言おうとする。
「…紅咲です」
メガネって…、と思いながらも自分の名前を言った。
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