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――四年前
中学一年生。
紅咲は新入生として師走(しわす)中学に入学する。
この中学は4つの小学校が重なるから1学年200人越えるほどの人数になる。
「でっ…か…」
紅咲は言葉に出したのと裏腹に面倒くさいという気持ちが強かった。
昔から目立たない紅咲だったため、友達という友達がいなかった。
てくてく学校の中に入って一年玄関近くの壁に貼られているクラス分けの紙を見ようとするが、人が多すぎて見れない。
「あー…面倒くさいなぁ…」
よいしょ、と人と人との間に体を入れながら前に進む。
ようやく見える位置まできた。
「オレは…3組だ」
小さく1人で呟いてまた、人との間を通り抜けて自分の玄関の下駄箱を探す。
「えと…3組の27番…にじゅう…あ」
あった、と見つけて自分の履いていた靴を脱ぎ、下駄箱に入れた。
ほっと一息して、ひとまずみんなの邪魔にならない所に移動しようとした。
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