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紅咲が歩き出そうとしたら後ろから引っ張られる感覚があった。
ただカバンが引っかかっただけか、と思い再び歩き出そうとしたらぐんっと勢い良く引っ張られ紅咲は小さな悲鳴を上げた。
「わっ…!」
足でしっかり踏ん張って体を保ってから、なんだ、と思って後ろを見てやる。
紅咲の目線には人だかりしか見えない。
でもまだ何かに掴まれている。
とっさに目線をしたに変えた。
「え?き、君が引っ張ってたの…?」
そこには背丈が120あるかないかくらいの小柄な男の子が立って紅咲の服をつかんで見上げていた。
「貴様、何組だ」
「き、貴様?」
いきなり知らない子から貴様呼ばわりされた紅咲だった。
「ボクは何組だときいている」
「オ、オレ…3組だけど…」
急に聞いてきたから紅咲はたじたじだった。
「そうか。ボクも3組だ。3組の25番の松永(まつなが)誠だ」
よろしく、と言いながら紅咲の服を掴んだまま笑った。
「オレ…は27番の山本紅咲」
よろしくの言うまもなく誠が口を出す。
「ならば紅咲。ボクの頼みを聞いてはもらえないだろうか」
な、なんですか、と紅咲は誠に聞いた。
その時紅咲は誠がいきなりすぎて早く逃げ出したいと思っていた。
「すまないがボクの靴を靴箱に入れてくれ。ボクにはとどかないのだ」
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