トランプゲーム

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「…え?」 「お前の他にも数人聞いたのだが誰も聞いてくれなくてさっさとどっか行ってしまったんだ」 うんうん、と腕を組みながら頷いていた。 「…いいよ。靴、貸して」 その言葉を聞いた誠は紅咲の方を笑顔で見上げた。 「ほ、本当か!?」 「うん。ほんとほんと。はい、貸して」 誠の話を聞き流しながら誠に手を出す。 誠はすぐさま靴を脱ぎ、紅咲に渡した。 「えと…25番だったよね」 そうだ、と誠が頷く。 27番が上から3つ目だからたどってけば、と紅咲は心の中で呟いた。 25番は下駄箱の一番上の列にあった。 「あ、だからか」 紅咲は小さく呟きながらもカコン、っと靴をいれた。 「すまんな、ありがとう」 いやー本当困ってたんだ、と頭をぽりぽりかきながら誠が言う。 「ボクは昔からこの口調だから不快に思ったならすまない」 紅咲はドキッとした。 正直この言葉を聞くまで思ってた事だったからだ。 「紅咲、もう1つ頼みがあるんだが」 「な、何?」 どうしてだろう、なんかオレびくびくしてる、と感じていた。 「ボクと友達になってくれないか?」 「…え…」 ビクッと体が反応した。 友達、その響きが紅咲の胸に突き刺さる。 なんだろう、今凄くワクワクしてる。 紅咲の顔から笑顔がこぼれた。 ――嬉しい― 「オレで良ければ…よろしく」
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