トランプゲーム

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「よろしく」 ずいっと手を出してきた誠。 紅咲は出された手を握って握手した。 「誠くん、早速教室行こうよ」 握った手をそのまま引っ張って教室に向かおうとした紅咲だった。 あ、あぁ、と誠も足を進める。 一年の教室があるのは建物東側の2階にある。 足早に階段をのぼって《1年3組》と書いてある教室にたどり着いた。 扉がしまってたため、ガラガラと音を立てながら扉を開ける。 すると教室にいた子ほとんどが紅咲と誠の方を見た。 紅咲はその場で背筋を凍らせた。 「あ…よ、よろしく…」 苦笑いしながら無理やり笑顔をつくって言う。 「はい、よろしくー」 誠は勢い良く手を上に上げて叫んだ。 だがみんなが無反応をした。 まぁ当然だよな、と思った紅咲だった。 自分席につこうと2人は教室の中を歩き回る。 誠は前から2番目で、紅咲はその2つ後ろについた。 「はぁ、ひとまずよかった」 まずは友達が出来たこと、もう1つは教室にたどり着けたこと、と紅咲は心の中で思った。
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