856人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
にしても比良が注文したクレープは凄い。
周りがチラチラと見る。そりゃそうだ。大量の生クリームと大量のアイスクリーム、苺にチョコにバナナに上から被った蜂蜜やら餡蜜やら抹茶やら刺さったポッキーやらなんやらでとにかく凄い。凄くて重そう。なのに比良は器用に食べれてる。一つもこぼせていない。
「どうしました?白石君、食べます?少しあげますよ」
「い…いい!いらないです」
「遠慮しなくていいのに」
「遠慮なんてしていない……俺は…うっ」
気持ち悪い。匂いだけで吐き気が……酔う。
「もしかして白石君……甘いの…苦手、でした?」
「え…」
鋭い発言に俺は比良を思わず見てしまう。比良はやはりと一人納得して頷いた。
「先程から元気ありませんし、顔色も悪いですし、甘いものから目をそむけていますし」
「き…気のせいだ」
「優しいんですね君は」
「いや別に俺は本当に……」
あれ?なんで俺否定しているんだ?肯定しない?苦手なのは確かで気分も悪い。なのに比良にそれを肯定したら比良に悪いと思っている自分がいる。
悲しませたくないのだろうか?
「実は白石君…僕は君に謝らなければならない事がありまして…」
「え」
比良の視線は俺のツナに…
「実は僕…ツナが苦手なんです」
「えっ」
「すみません…、ツナ…アレルギーなんです」
「ツナ…アレルギー」
そういえば顔が赤い。なんかじんましんみたいにポツポツ少し浮かんでる。前もあった。何故か顔が赤くて、少ししたら元に戻って………そうか、アレルギーだったのか。なのに無理して比良は……
「…あんた、俺に好かれたくて無理にツナくっただろ。馬鹿だろ」
「だってそうしないと会う口実できないじゃないですか…あはは」
「……」
馬鹿だ。大馬鹿だ。なのに無理して食べた比良に俺は少なからず感動している。
「今度から、無理に食べるなよ。躯……大事にしろよ」
「それは心配して下さってるのですか?それに今度って…」
「あんたはツナパン確保うまいからな。勘違いするなよ」
「……白石君…」
「……俺も……正直いうと甘いの大嫌いなんだ。黙ってて悪かったよ」
「僕達って正反対ですね」
「だな」
そのわりにはお互い笑っていた。不思議と相手が比良なのに心地が良かった。
最初のコメントを投稿しよう!