謎の転校生

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無意識に頭を抱え顔をうずめていると比良が心配そうに声をかけてくる。 「…すみません、混乱してますよね」 「ごめんなさい……頭悪くて…」 にっこり笑う。それが逆に辛くぐさっと胸を刺す。 さすがの比良も内心で嘲笑っているに違いない。 しかし… 「焦らないで下さい設楽さん。まずは元素記号を覚えましょう。元素記号を覚えただけで今の化学反応式を解くのも難しいですが元素記号を覚えてる覚えていないのとでは全然違いますから。最後まで付き合いますよ」 「……」 俺は驚く。嘲笑っていなかった。それどころか比良は一人の生徒に事細かくノートに元素記号を書き足すとそれらを説明していった。 この人…本当に良い先生だ… なんだか騙しているのが恥ずかしくなる。 「設楽さん?」 「あっいえ…」 でも比良には悪いが俺は罰ゲームを実行しなくてはならない。
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