罰ゲーム

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「歩って女装すれば女だよなもろ」 「は?」 一人が突然変な事を言ってきた。 「あ、俺いいの思いついた。比良だよ。あいつに女装した歩で告白するってのはどうだ?」 「…は?」 この男も何を言っている。 比良ってあれか?女子に異様に人気でいつもにこにこ男女分け隔てなく優しい科学のあの比良吉彦か? 「科学でわかんないのあるから教えてみたいな事いってあいつに近寄ってそのあと告白するんだ!」 「……その告白で万一OKの返事だったらどうするんだよ」 「あーそれはない」 すると皆一斉に顔の前に手を横に振っていう。見事に声がはもった。 しかし俺にはわからない。比良の授業は大抵寝てるからあまりあの先生を知らないのだ。 むかつくくらい顔が良い事くらいしか… 「あの先生よく女子に告られるんだが毎回断ってるらしいぜ」 「そりゃ相手が生徒だから当たり前だろ?」 「いやいやそうじゃないだわ。なんか恋愛に興味ないみたいなんだと。今は生徒を教えるのに生きがいを感じている、なんて……教育者の鑑だよなあいつ」 「へー」 勿体無い。 少なくとも俺はそう思った。この分じゃ結婚も遠そうだ。 顔良いんだし中身も良いのになんて勿体無い。 世の女が泣くぞ。 「別に恋愛しながらも教師になれるのにな…」 ぼそりと聞こえない声で呟く。 すると強く肩を瞬間置かれ、思わずびっくりした。 「て事だ」 「…何が?」 「とぼけるなよ。比良に告白する。女装で。それが罰ゲーム」 「なっ、嫌だよ女装なんて」 「じゃあ男のまま告るのか?次の日一部の女子にある事ない事噂されるぜ?」 「おい一部じゃなくて腐女子だろ。あいつら場所わきまえずホモトークすっから本当どうにかなんねーかな。顔だけよくてもな…」 「まぁ…顔は良い子ばかりなのに色んな所が勿体無いよね」 はぁ~と溜め息つくやつらになんとか違う罰ゲームにしてもらおうと色々あげてみるが、結局俺の罰ゲームは、女装で比良に告白という事に決まった。 告白するまで罰ゲームは終わらないらしいから比良に近づくだけでも俺にとっては罰ゲームだ。比良に近づき万一1日で告白できなくても罰ゲームは続行される。何故なら“告白する”までが罰ゲームなのだから。 今までで一番、人生で一番の屈辱で最低最悪恐怖の罰ゲーム。 …溜め息しか出なかった。 .
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