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それに続きなんて不幸か。いつも早めに購買行くのに罰ゲームの話のせいで遅れたのだ。なので当たり前のように購買が混んでいる。なんとかこの波を掻き分けて前に進まなければ。じゃないと最近はまってるツナパンが奪われてしまう。
「す…すみません…ちょっと…どいて!」
波の弾力に負けずに無理矢理隙間に入ろうとするが…
「ひゃっほー!ようやく買えた!」
「うわぁっ!?」
入ろうとした隙間から男子が出てきた。お目当てのが買えて嬉しかったのだろう。
しかし俺にとっては更に不幸だった。
「うわわっ」
突然前に人がぬっと現れたから驚きのあまりに尻餅をついてしまいそうになる。
しかし実際尻餅をつかずにすんだ。
何故なら…
「大丈夫?白石君」
「…比良…先生」
支えられた腕から上へと視線をあげる。ああやっぱり比良吉彦だ。
別に嫌いってわけじゃない、生徒に優しいし授業もわかりやすいみたいだし(俺は寝てるからわからないけど)女子に人気でもむかつかないし、僻みとか妬みとかないし。逆にああさすがと思うくらい。
だから個人的にはこの先生は嫌いではないのだ。ただ…ただな……
「白石君?」
「なんでもないです」
罰ゲームとなるとこの男と友人達が憎い。
俺は思わずそっけなく目をそらし、支えられた腕を振り解く。しかし比良は別段と気にしてはいなかった。
「白石君も購買でお昼ですか?僕もそうなんです。たまにはお弁当じゃなく購買のもいいかなって」
「ふーん」
お弁当…やはり一人で作るのだろうか?いやコンビニ弁当とかもありえる。
「白石君は何を買うんですか?オススメのやつとかあったら教えて欲しいですね」
「……ツナパン」
「ツナパンですか。美味しいですよねツナ。実は僕も好きなんですよ」
「ならオススメだ!」
思わず興奮に目が輝く。
ツナ好きに悪いやつはいない。この人やっぱいい人だ。
でもやっぱり罰ゲームとなると…
「?白石君」
「あ…なんでも。でもこんなに混んでいるから多分もう売り切れてる。諦めて残ったパンを買います。俺身長低いからあの中に入りたくても入れないし」
「白石君」
「?」
ぽんっと肩を軽く叩かれる。比良はにっこり笑って待ってて下さいというとあの波に入っていった。
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