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「似合うぜあゆみちゃん」
「あゆみじゃなくあゆむなんだけど…」
「いや~似合うぜ、恐ろしいぐらいに」
放課後の教室俺と友人達しか残っていない教室に俺は見せ物にされていた。
ウィッグを被せられ、偽乳をいれられ、友人の一人が、姉が使ってた制服を持ってきて、それも着せられておまけにメイクまでやられた。
「自分の才能が恐ろしい。男をも綺麗に出来るなんて」
メイクした男は手先がかなり器用だが若干自画自賛がある。が、それでも化粧には詳しい。姉や妹が多い家に育っているせいか女の事にはかなり詳しいのだ。
将来は女を綺麗にするメイクアップアーティストになりたいらしい。
まぁその才能はあると思う。実際自分の顔を鏡でみて不覚にもドキッとしてしまったのだ。
自分に一瞬でも惚れそうになるなんて危ない危ない…
「本当に女みたいだな。なぁこの胸本物ってなわけないよな?」
「ひゃあっ!」
不意打ちで胸を鷲掴みされて思わず変な声を出す。すると友人達は笑った。
「お前なんだよその声。偽乳でも感じんのかよ」
「かっ…ち、違う。不意打ちだし。くすぐったくてつい…」
「ついでもひゃあっ、はないだろ」
「うううるさいな」
今すぐにでもウィッグを投げつけて逃げ出したい。しかしそうもいかないんだ。
これから罰ゲームが始まるのだから。告白するまでの長いゲーム。
「それじゃ俺は教室で待ってるから、結果報告楽しみにしてるよ」
友人達がにやにや笑いながら手を振る。
もう行けって意味だ。
「はぁ…」
まぁ見た目、白石歩に見えないだろうし、まさか俺がこんな格好もするとは思えないし、恥を捨ててここは女を演じてやろうじゃないか。
「こんなふざけたゲームさっさと終わらせてやる!」
しかしこのゲームが意外にも長く続こうとはこの時の俺はちっとも気づかないでいたのだった…
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