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「あの…比良…吉彦先生…ですか?」
「ん?君は…」
職員室に寄ると比良はいなかった。聞いてみると科学準備室にいるらしく俺はすぐさま科学準備室へ向かった。
そして丁度中から出てきた比良に声をかける。比良は初めてみる顔に目を瞬いた。
「私は…昨日転校生してきた…えっと…し…設楽歩…です」
思わず白石と言おうとした時とっさに昨日読んだ漫画に出た新キャラ、設楽元というおっさんキャラからとってしまった。
よりにもよっておっさんキャラから……言ったあと少し後悔する。
「設楽…さん、僕に何か用ですか?」
「あの…科学でわからない所があって、教えて頂けませんか?」
「えっ」
更に比良は目を見開いた。
「科学なら君の担当教科の先生に頼んだ方がいいんじゃない?」
「…比良先生が担当の先生…なんですが」
「えっ」
勿論嘘だ。だから比良はますます驚いた反応をする。
「おかしいな。一応生徒の名前は全て覚えているのですが…」
げっ…
思わず出そうな声をとっさに抑える。まさかここまでとは思わなかったのだ。
生徒の名前を覚えているなんて。
担任の先生でもあるまいに。だけどそれが逆に好感が持てる。
「あの…先生」
「すみません。覚えていたつもりなんですが君の名前をわからないなんて…お詫びになんでもきいて下さい」
突然頭を下げて謝る比良。かなりぐさぐさと罪悪感があったがそれらも抑えてなんとか切り出した。
「じゃあ立ったまま教えてもらうのも悪いですから、空教室とかで教えて貰えると嬉しいです。あ、科学準備室でもいいですよ」
「いえ科学準備室は埃っぽいので空教室へいきましょう」
そういうと俺達はすぐ近くの空教室へ入っていった。
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