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「・・・・夢・・・?」
朝、目が覚めると見慣れた白い天井があった。
病院の天井。一樹はあの後気を失って、病院へ搬送されたらしい。
全く💧変な夢を見ちまった💧これもあの変な者に追いかけられたからか?
顔に手をやり、ため息を吐く。
この歳になって女の子に助けられた。結構精神的にくるものがあるな💧
そんな事を思いながら、一樹は起き上がり、床に置いてあるスリッパを履いた。
「痛っ?!」
左足にズキッと痛みが走る。
昨日足を捻ったところだろう。
いつもならそんなヘマはしないのだが・・・
「はははっ💧全く、昨日はヘタレだったな💧」
五木は苦笑いして、“軍服”に着替え軍刀を支えにして左足を引きずりながら病室を跡にした。
軍人教育専門学校と呼ばれるより優れた軍人を育てる為の学校がある。
そこには世界各国から集められた少年少女、大人が日々鍛錬を積んでいた。
そんな学校に一人、他の人とは少し変わった少年が汗を垂らしながら山道をランニングしていた。
栗色の髪、黒い瞳、あまり強そうには見えない普通な体付き、だが、背中に背負っている禍々しい巨大な剣が少年を強く見せる。
名を雷と言う。
今年の春、剣課に入った新入生である。
「・・・はぁ、はぁ」
「早朝からランニングとは精が出るのぅ」
山道を抜け、息を切らしながら学校についた雷を教室の窓から少女が言った。
雷に興味を抱いた最初の一人、アレイ・ルゥ・ムフェトゥルである。
窓からアレイがケラケラ笑っているのに気付いたのか、雷は口を声を出さずに動かす。アレイにはその言葉を理解する。
『笑ってんじゃねぇ💢』
またくすっと笑ってしまった。
アレイも真似して言い返す。
『早くしないと遅刻するぞ?』
『分かってるよ💢』
そう言って、学校の中へ入って行った。
「どうしたんだ?その足」
一樹の足を指差して、雷が問う。
「・・・・・」
あからさまに嫌そうな顔をする一樹に雷は苦笑いして、もう一度問うてみた。
一樹はブスッとした顔で答える。
「カイダンデコロンダ」 「なんでカタカナ口調??」
「大したこと無いから平気だ」
「・・・そうか。なら良い」
五木と雷は同じクラスメイトだ。一年前に剣の練習試合の時に知り合い、仲良くなったのだ。
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