27人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラガラガラ……と教室の扉が開き、若い新任のような男の教師と、前髪をまっすぐ揃えた中学生のような少女が入ってくる。
教室が、2人に注目して静かになる。
「お前ら早く席に付け! チャイムは鳴り終えてんぞ!」
若い男……このクラスの担任である、城崎啓真が生徒たちに注意する。
横にいる転校生が年齢以上に幼く見えることもあり、女子生徒にモテるほど整った顔が、今は悪戯を叱るお兄さんのように生き生きとしている。
通常でもお兄さんみたいな存在である城崎は、男女問わず生徒から人気のある教師だ。
城崎は全員が席に着いたのを確認してから、一呼吸をおいて言葉を紡ぐ。
いきなり静かになった教室に緊張したのか、隣の少女は固まって下を向いてしまっている。
「もう知ってる人も多いと思うが、俺らのクラスに今日付けで転校生が入る」
俯いている転校生に、城崎は挨拶するように促した。
彼女は漸く気づいたように顔を赤く染めつつ、前を見て緊張した風な小さな言葉を発する。
「お……大野七海です……。よ、よろしくお願いします……」
最初のコメントを投稿しよう!