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体育館につくと、ほぼ全校生徒が集まって密集しており、あとは蒼子のクラスを待つのみだったようだ。
城崎が、自身の騒がしい教え子たちを鎮めながら並ばせる。
蒼子も、後ろから着いてきた少女とともに前に続いて並ぶ。
「えっと……」
少女が挙動不審なほど縮こまりながら、蒼子の肩をつついてきた。
「なに? 大野さん」
返す蒼子は、始業式が始まりそうだからとそっけない。
「な……、名前教えてくださ……い」
相変わらずのか細く、消え入りそうな声だが、目を潤ませて泣きそうになっているほど真剣な表情をしている。
「わたしの……と、ともだちに……、なって欲しいのです」
トーンは変わらないにせよ、意思を持った言葉。
蒼子は、少し目を丸くする。
「だ……、ダメ……ですか……?」
ぽとり。
少女の瞳からは、涙が溢れだしていた。
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